裏表のある駆け引きを思い浮かべて以下の例題を解いて欲しい(というか、自分なりの結論を出して欲しい)。また記憶の部分が欠けていた場合のことも考えてくれると嬉しい。
 実際の対戦ではもっと沢山の情報があるのだが、一応例題ということで。

 


(例題1)

「自分はある局地戦で、裏を食らい、次の表を防御、その次の表は裏を返そうとしたために食らった。
○今までにこの状況は上記の3回だけである。1回目はかなり前、2・3回目は
 記憶に新しいついさっきのことである。
○表を返す技は裏に負ける。裏を返す技は表に当たらない。
○裏を返す技は裏以外の場合空振りしてしまう。他の技は空振りすることはない。
○裏を返す技以外は相手に防御されても問題ない。そのまま連携につなげられる。
○表は小ダメージ、表を返す技と裏は中くらいのダメージ、裏を返す技は大ダメ ージを与えられる。また裏を返す技が空振りすると大ダメージを食らう。
○防御を選択した時に相手に投げられたことはない。
○体力は自分がかなり負けている。相手の体力がげゲージの2/3くらい、自分 の体力がゲージの1/5くらいである。
○場所は壁際とまではいかないがやや押されている状況だ。
次に同じような状況がきた時に相手は裏と表のどちらを仕掛けてくるか。」

 対戦中はこれらの問いの答を瞬間的感覚的にはじき出しているはずだ。
 普通はこの問のように必要な情報が与えられるわけではなく、その時の駆け引きに必要な材料を今までの膨大な情報の中から拾ってこなければならない。
 また、このような単純なダメージに関わる選択ではなく、「この関門に勝利できると近づくことができるので、その次に自分に有利な関門2択を突きつけることが可能」というようなものであることが多い(そこで勝利できないと技の攻撃判定や射程の関係で届かないことなどからその権利が得られない)。

 情報量の少ない段階で駆け引きに応じなければならなかったり、自分の算出した結果を信じてどんなリスクを伴おうと実行できるかという前処理、後処理の部分もあるが、この処理能力を「思考計算」と私は呼んでいて、それが強い人が達人、またはマスタークラスなのである。

◎関門勝率・能率整理

○この時の選択肢は互いに表・裏・防御・投げの4択である(とする)。

リスク・リターン表(小のダメージを3、中を5、大を7とする)

相手 表を返す技 裏を返す技 防御 投げ
−5  
−7  
投げ −5 −7 どちらか7
防御      −7



○勝率・能率表(投げ同士はややこしくなるので省く、というかよく判らない)

    勝率 平均ダメージ 敗率 平均ダメージ
2/4 1/4
2/4 1/4
  投げ 1/4 2/3
  防御 1/4 1/4
表を返す技 2/4 1/4
裏を返す技 2/4 2/4
  投げ 1/4 2/3
  防御 0/4 1/4


 何度かその技を使った時の経験でこれらの表は完成できると思う。
 ここから「自分の敗率が相手よりも高い」「相手の防御という選択も攻撃のひとつである」ということがわかる。すなわちこの駆け引きは不利だ。

 「勝率・能率表」によってその技の成功率や最大最小の見込みダメージを整理することができる。 上記の情報にリスク・リターンを考慮した心理的特典をプラス・マイナスした値を加えなければならないだろう。
この値が人によって違うので判断が変わり、個性が出てくるのではないだろうか。
 この部分はある程度公式のようなものを作りたいものだ。
(ここらへんの文章は自分でも自信がないので突っ込まないで下さい。あなたの意見をまとめて私のところに送って下さい) 
 まず読みを行う前に、駆け引き以前の平均値、相性的情報の整理が必要で、それを基盤にして「相手は最小減のダメージに抑えたい状況」とか「ダメージを与えることを最優先させる場面」というように絞ることができる。

 

◎関門記憶整理


○今までの流れ表

  自分の行動 相手の行動 結果 勝者
1回目 表を返す技 自分が裏を食らう。 相手
2回目 防御 表を防御。 なし
3回目 裏を返す技 裏を空振り後、ダメージを食らう 相手


 先ほどの「リスク・リターン表」「勝率・能率表」を前提にしてこの「流れの表」からわかることは
@相手はかなり前に自分に1回見せただけの裏を返される前に表を行った。相手は心理的に先回りを行うことがある。
A相手は表を見せた後にもう一度表をしている。おそらくあの時にまだ自分が見せていなかった裏を返す技を警戒していたのである。警戒心は強そうだ。  
B相手は今まで投げを選択していないし、やられダメージの小さい表を2回選択している。おそらく冒険はしない堅実な相手だ。
C相手は今まで表と裏どちらかの技を必ず選択している。
D自分が防御することがあることを相手に見せている。
E自分は今まで毎回選択を変えている。自分が相手の裏を欠こうとしていることを相手は知っている。
F自分が今までの相手の技の返し技を知っていることを相手は知っている。
G自分は敗率とやられダメージの大きい裏を返す技を決断できることを相手は知っている。
H自分は投げを狙ったことはない。

 これくらいかな? 本当の対戦だったら、もっとわかることだろう。
 このデータを先ほど整理した初期情報に追加登録してみよう。
 単純な勝率が流れで察せられる情報によって大幅に動くと思う。どのデータに注目し、確率をアップさせるか、ダウンさせるかは人それぞれ(それが数式を越える人間の特権である)、試しに修正してみて下さい。
 
 「関門記憶」ではその使い手の洞察力や視点によって情報の質(重要度など)が変わってしまい、当然処理結果も変わるのである。使い手の強さは計算高さよりも洞察力から得られる情報量に負うことが多い。その部分は反復による機械的動きでは上達に限界があり、必ず自分の試行錯誤、思考的向上心がものをいう。
 情報不足で絞れないのなら、この体力では不利な駆け引きをする必要はない。
 もう一度防御を選択するという判断も大切。
 よく相手の攻撃を防御し続けたり、フラフラと足払い間合い外で流したりする膠着状態は相手の技を出す間合いやタイミングの情報を収拾しているのであって、水面下での洞察戦である。
 この「流し」をつまらないという使い手は情報の大切さを知らないでてきとうなカンで戦っている人なので強くはなりえないと思う。
 
 さて、以上の「理論的確率」によってその局地戦の相手と自分の選択肢の量と質を把握することができた。
 そこから次の段階「心理的確率」に入って読みを完成させることができる。


(理論的確率のまとめ) 

 大切なことは、結論の出し方はどうであれ「こうだから、こう!」と言えることだと思う。そうすれば、負けてもどこの計算が間違いだったのかという敗因まで考えられるし、常にその時点まで読めるのならば、さらに上の読みを目指すこともできる。てきとうならばてきとうな読みで終わり、読みが一定していないために勝ったり負けたりの雑な勝負に終始するだろう。

 対戦中は相手の癖や心理を見抜き、それのみを根拠にして「関門勝率」をまるで無視した決断をできる場合はある(後述)。そのような相手のパターンを見抜いた状態が、すなわち他の選択肢を全て消去した確率ゼロの状態なのである。
 そこまで露骨にはいかなくても自分のその状況における知識の上での単純な平均的「関門勝率」から、相手がさりげなく宣言した情報を取り込んだ「関門勝率」への書き換えを行い、そこからある程度の根拠をはじき出している。
 この能力の差が3ラウンド後には勝敗に表れるだろう。
 相手が心理的にあるレベルまでであれば、どんなに連続技やキャンセル技がバリバリ冴えた使い手であろうとも、メッセージの解読とこれらの理詰めでまず 間違いなく勝利することができる。
 この計算処理能力は純粋に勝率に関わる重要な要素だ。
 


理的確率の3段階処理


 「理論的確率」だけでは予測には不十分であり、その算出結果を3段階の処理を通して、予測にまで持っていく。


1.量計算処理

 その名の通り「相手の力量を計る」ということだ。
 相手がどの程度まで心理的理詰めをしてくる相手か。「もうひとひねり、いや素直にいこう」など算出結果に修正を加えるのである。
 単純な相手と踏んだら単純な読みで止め、その次の段階まで進む必要はない。
 ある局面で浅い対応しかしない使い手が、他の局面では深い洞察に基づいた対応をすることはまずないからだ。
 ある誘いに引っかかる相手は他の誘いにも引っかかるし、裏を読む相手は必ず次も裏を取ってくる。対戦相手を見ないでリバーサルを決断する相手は次も浅はかに出すだろうし、逆に見すぎる相手は強引な行動をすることはまずない。
 自分の意図を読まれたことを察することができるレベルであれば柔軟な対応をしてくるから、逆にその選択肢を削除することもできる。

 試合開始後の間合いの取り方でだいたいその使い手の力量はわかるものだし、何回かの局地戦で取った行動の心理的工夫から相手の読みの深さが察せられると思う。
 自分よりも格上である(読みが深い)と感じても、何かしらその読みの根拠があるはずなので、それをじっちゃんの名にかけて謎を解くことで裏を取ることができる。もし根拠が見つからなければ防御という回避もできるし、奇襲を増やし相手の判断を狂わせて相手を引きずり下ろすこともできる。
 まあ、ストUは自分より心理的格上であったらほとんどの場合負けるゲームなので、限界ははあるが。
 厳しいゲームだなぁ。


2.格修正処理

 「関門消去」の露骨な再処理。
 理論的確率のところでは事実を基にする処理を行ったが、次は自分の推測の部分で選択肢を絞っていく。それまでに察知した相手の性格と癖の情報を拡大して現在の状況に当てはめ、相手の選択肢をさらにそぎ落としていくのである。
 体力がない時に相手が冒険する確率や1回裏をかかれた時の次の対処はその性格の部分が強く反映するし、戦略自体にもその使い手自身の気の長さや忍耐力が関わってくる。
 技術的にもスカし技が苦手な相手が急に得意になることはない。
 それらを求めて強引に判断をするのだ。
 どんなにバリエーションは多くても、使い手の本質はまず変わらない。
 ある局面で堅実な使い手が他の局面で突然バクチ的選択はしないし、踏み込みの浅い使い手が急に深くまで踏み込んでくることもない。
 必ず相手はその使い手の思考パターンの中で選択肢を決めるし、技術的縄張りの中で勝負してくるのである(実力者はその思考の器と地力に幅があるだけ)。

 相手が方針として戦法を変えることはあるが、地力の範囲外であるかぎりそれは未熟な戦術なので限界がある。それに相手に方針を変えさせるきっかけの局地戦がまず存在するので、見落とさなければ演技の裏を取れると思う。
 
 その他「このタイプの相手をこの状況に陥らせたらこう対応するはず」という確信から始まる「どうやってその状況にするか」という逆のパターンの理詰めも重要で、よく使用する(後述)。

 ストUは心理戦の比重が大きいから、使い手の性格が露骨にそのプレイに反映する。それは全てにおいて当てはまるわけではないが、かなり信頼できる要素である。
 相手は機械ではないので、予測には確率だけでなく、必ずそういう性格の部分を加味しなければならないと思う。 
 


3.終処理(客観的推測)

 最後に今までの流れを客観的に見て自分はどういうタイプだと相手に認識されているかを判断する。
 「力量計算処理・性格修正処理」は当然相手もしてくるので、その結果を推測し、それを考慮して最終的決断を行うのである。
 自分が今までバクチ的戦いをしていた場合は相手はそれに合わせた決断をしてくるし、堅実だと思われていた場合は奇襲で投げにくるかもしれない。
 予測は常に自分本意であってはならず、相手の心理になって考えなければならないと思う。

 確率はベースにするものの、お互いに思考計算に磨きがかかってくると互いに読まれ易くなり(読めるからこそ何もできないという膠着状態に陥る)、それを打破するために逆に確率を越えたところで戦うこともある。

 以上の3つの処理結果が自分の予測であり、ここまで絞っていけば、時には「確信に至る読み」にまで至ることもあるのである。
 失敗しても「どこどこの処理判断が甘かった。この事実を相手の思考ルーチンの情報に追加。次回の予測に使用!」となり、常に思考計算のレベルはアップして 一筋縄ではいかなくなっていく。3ラウンド目など相手の戦略とそれまでの流れで最初のラウンドの動きとは別人になっていることもあるはずだ。

 繰り返しになるが「理論的確率」と「心理的確率」はその状況になる前に前もって考えることができ、その局地戦の戦術的心理戦を「確率戦」、そこに持っていく、持ってかせないという戦略的心理戦が「間合い戦」である。
 対戦は自分の頭の中でシミュレーションした結果勝利して、その攻防を実際に再現するだけなのである。
 「何でこんな不利な駆け引きをしなければならないの?」と言ってもすでに 遅いし、「このキャラは強い。ハメだ。待ちだ。チキンだ。」と言う前に努力することがあるだろうと思う。
 敗北を自分以外のものせいにするそのような言葉は「あらゆる手段を試み、 試行錯誤を重ね、それでもたやすく返されてしまった」という実績があることを宣言していることと同等なので、その自信がなければ気軽に口にすることはできない。それくらい重い意味を持つことを認識して欲しい。
 以上の「思考計算」の勝利の積み重ねが、単純な「関門勝率」の殻を突き破り、キャラ勝ちなどをひっくり返すのである。実力者はここが強いのであって、キャラ性能が変わったとしてもあまり打撃を受けることはない(限界はあるが)。
 実際、「こいつはやばい思考ルーチンだ」と思える人は昔からいて、バージョンが変わってキャラが弱くなっていても、連勝しているのである。


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